- 西岡・福谷バレエ団
知ると面白い?バレエの歴史2
更新日:3月25日
今回はロマンティックバレエについて触れていきたいと思います。
18世紀の末からロマン主義というものが、文学・美術・音楽で主流となりました。
その影響を受けて作られたバレエが
「ロマン主義のバレエ」=「ロマンティックバレエ」なのです。
目次
・まとめ
ロマン主義とは?
では、この時代のバレエが影響を受けたロマン主義とはそもそもどんなものだったのか。
少し触れてみましょう。
時代は1740年から1850年ごろ、2つの革命が起きました。
フランス革命と産業革命です。その革命は市民の生活を一変させました。
それに伴い18世紀以前に流行していた、古典主義や合理主義という今までの思想に反抗して、個人の感情や個性、自由などを尊重する思想が生まれました。
自然との一体感や神秘的なものへの憧れ、異国情緒を表現したものが多いのが特徴です。
ロマン主義の代表的な人物
・文学
ヴィクトル・ユゴー
ジョルジュ・サンド
など
・美術
ウジェーヌ・ドラクロワ

テオドール・ジェリコー

など
・音楽
フランツ・シューベルト
エクトル・ベルリオーズ
フレデリック・ショパン
ロベルト・シューマン
フランツ・リスト
リヒャルト・ワーグナー
など
ロマンティックバレエ
さて、話はバレエに戻ります。
時代は1830年〜1850年の間とされています。
ロマン主義の影響を受け、バレエも妖精が主人公であったり、空想的であったり、異国情緒を感じる題材が多く上演されるようになります。
以前のバレエで使われていた衣装よりも軽い素材で作られた、膝下丈のチュチュ(ロマンティック・チュチュと呼ばれる)を着るようになり、足首から先が見えるようになったことでつま先立ち、つまりバレエの代名詞でもあるトウシューズが考案されました。
このロマンティックバレエが現在のバレエの基礎となったと言えるでしょう。

この時代には女性ダンサーが一世を風靡しました。
マリー・タリオーニ、カルロッタ・グリジ、ファニー・チェリート、ファニー・エルスラー
ルシル・グラーン
1845年にタリオーニ、グリジ、チェリート、グラーン(エルスラーが断ったためグラーンが抜擢された)の4人を集めたパドカトルという作品が上演されるほどの人気でした。
現在でもこの作品の役名は人物の名前のまま上演されます。

おもな作品
1.スコットランドを舞台とした「ラ・シルフィード」
人間の若者ジェームズとシルフィード(空気の精)の悲恋を描いた作品です。
1832年にパリのオペラ座で初演されました。
現在は初演の形ではなくオーギュスト・ブルノンヴィルという振付家が改変した
ブルノンヴィル版が上演されています。
2.オーストリアの伝説より着想を得た「ジゼル」
作曲はアドルフ・アダン、初演は1841年
2幕構成になっており貴族の若者アルブレヒトと村娘ジゼルの悲恋が描かれます。
2幕ではウィリという亡霊たちが白い衣装をまとって踊り、
ロマンティックバレエの特徴を見ることができます。
現在でも、「ジゼル」は人気の作品として世界各国で踊られています。
3.異国情緒を表現した「海賊」
こちらも作曲はアドルフ・アダン
初演はロマンティックバレエの後半で少し遅く1856年
上記の2つのように妖精は登場しませんが、ロマン主義の項目でお話しした
オリエンタルな異国情緒を表現した作品です。
現在はマリウス・プティパという振付家が後に改定したバージョンをもとに
上演されています。
まとめ
いかかだったでしょうか?
ロマンティックバレエが流行した背景には、このような時代の流れがありました。
今では古典といわれるバレエですが、時代と共に変化する最先端の芸術だったといえるでしょう。
次回は、現在まで踊り継がれているクラシックバレエという形が出来上がるまでをお話ししたいと思います。